刑事ドラマの金字塔として、1975年5月24日から1982年4月3日まで約7年間にわたり放送された『Gメン’75』。骨太で社会派なハードボイルド路線を貫き、単なるアクションドラマとは一線を画していました。当時の刑事ドラマで恒例だったレギュラー刑事の「殉職」は、物語に大きな区切りをもたらす華やかなシーンとされていましたが、『Gメン’75』ではその扱いに独自の姿勢が見られます。
今回は、約7年間、全355話という長い放送期間の中で、Gメンのメンバーとして命を落とした刑事たちと、その裏側にあった制作陣の意図について詳しくご紹介します。
7年間の放送で「殉職」したのは2人のみ
『Gメン’75』は、警視庁本部から独立した特別潜入捜査班Gメンが、国内から国際的な犯罪までを追う物語です。これほど長期にわたって放送されたにもかかわらず、レギュラー刑事として公式に「殉職」という形で番組を去ったのは、わずか2名だけです。しかも、この2名の殉職劇は、番組開始から最初の2年間という草創期に集中していました。
当時の刑事ドラマでは、レギュラー降板=殉職という図式が一般的になりつつあった中で、Gメン’75の殉職者が少ないのは、他局の『太陽にほえろ!』が作った定番の手法をあえて避けた結果である、という声が多く聞かれます。制作プロデューサー側が、他の刑事の殉職案もあったにもかかわらず、模倣を避けるために見送ったともされています。
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初代メンバー・関屋警部補の衝撃的な最期
Gメンの歴史で最初に殉職したのは、初代メンバーの一人である関屋一郎警部補(原田大二郎)です。
彼の最期が描かれたのは、1976年1月3日に放送された第33話「1月3日 関屋警部補・殉職」です。
殉職の状況と壮絶な演出
関屋警部補は、Gメン創設当初、実質的な主役のような大きな存在感を放っていました。彼の殉職劇は、正月早々に脱獄した殺人犯・遊佐哲次(溝口舜亮)の追跡中に起こります。
関屋警部補は、愛人への復讐のために都内に潜伏していた遊佐を団地内で発見し、壮絶な撃ち合いの末、相討ちとなります。この殉職シーンは、当時の視聴者に強い印象を与えました。
特徴的だったのは、その描かれ方です。
• 致命傷となる被弾シーンは描かれず、苦痛に顔をゆがめるシーンもない。
• 犯人を仕留めたと思った直後、最後にドサッと倒れ、後ろの壁に真っ赤な血がベットリと付くという衝撃的な描写でした。
• 仲間の刑事たちが関屋の被弾を知っても、「関屋ー」「関屋さーん」といった感情的なセリフを一切発せず、ただ微動だにせず見つめているだけという、徹底したハードボイルドな幕引きでした。
この鮮烈な殉職シーンのアイデアは、実は演じた原田大二郎さん自身が監督に提案したものであり、「弾丸は入る時は小さいけれど、中でぐるぐると大きく穴を空けるんですよ。どうですか?」と語ったところ、監督に採用されたというエピソードが残されています。
関屋警部補の人生とルガーP08
関屋警部補は、Gメン加入のきっかけとなった第1話「エアポート捜査線」で、恋人(田中真理)をルガーP08という凶器によって殺害されるという悲劇を経験しています。そして、彼自身を殉職に追いやった遊佐哲次が使用していたのも、山中に埋めて隠していたルガーP08でした。関屋警部補は、人生の節目でこの拳銃に翻弄された、という見方もあるようです。
悲劇を背負った津坂刑事の壮絶な結末
2人目の殉職者は、関屋警部補の元部下であった津坂真一刑事(岡本富士太)です。
津坂刑事の退場は、第104話「77.5.14津坂刑事殉職」(1977年5月14日放送)で描かれました。
父親の無念と運命の銃弾
当初は寡黙だった津坂刑事ですが、次第に熱血漢としての側面が強調されていきました。彼の殉職劇は、彼自身の過去の悲劇に深く関わっています。
津坂刑事の父親は15年前に殉職した巡査であり、津坂刑事は父親の無念を晴らすために刑事になりました。捜査の末、時効成立直後に発生した暴力団員射殺事件で使われた拳銃が、15年前に父親が奪われたものと判明します。運命の歯車が回り始めた津坂刑事は、相討ちとなり殉職します。
演じた岡本富士太さんは、刑事役以外にも挑戦したいという希望から降板を申し出たことが背景にあるとされています。彼は、自身の要望が通りやすいよう新人監督を指名したという話もあります。
魂の目線で描かれたラストシーン
津坂刑事の最後のシーンも、Gメンらしいハードボイルドな演出で締めくくられました。
壮絶な最後を遂げた津坂刑事に対し、黒木警視(丹波哲郎)や草野刑事(倉田保昭)、山田刑事(藤木悠)ら残された仲間たちは、感情的な言葉を口にせず立ち尽くすだけでした。カメラがGメンの隊員たちを頭上から捉えるこのラスト1ショットは、残された仲間たちの胸中を深く感じさせる圧巻の描写であり、この構図は絶命した津坂刑事の「魂の目線」である、と解釈する人もいるようです。
殉職を避けたGメンの「ハードボイルドな流儀」
Gメン’75が初期の2名(関屋、津坂)の殉職以降、7年間の放送期間中にレギュラーメンバーの降板時に殉職を選ばなかったことには、制作姿勢が強く反映されています。
『太陽にほえろ!』との差別化
当時の東映プロデューサー近藤照男氏は、本作以前に制作した『キイハンター』『アイフル大作戦』『バーディー大作戦』といったアクションドラマ路線を転換し、『Gメン’75』では登場人物の葛藤や悲哀、社会性を強調した重厚な人間ドラマを目指しました。
「殉職」というセンセーショナルなテーマを毎年のように繰り返す『太陽にほえろ!』との「マネを避ける」という方針が制作陣にはあったとされています。
栄転と左遷:多様な退場
殉職が避けられた代わりに、Gメンのレギュラーメンバーが降板する際は、転属という形が取られました。多くは、響圭子刑事(藤田美保子)のようにインターポールへ転属(栄転)したり、速水涼子刑事(森マリア)のようにFBIへの研修に向かったり、国際的な舞台へのステップアップとして描かれました。
しかし、中にはハードボイルドな警察の縦社会の厳しさを感じさせる、厳しい退場もありました。山田刑事(藤木悠)は、覚醒剤問題に心を痛める警察署長への人情的な対応をきっかけに、城西署へ転属(異動)となりました。
さらに、中屋警部補(伊吹剛)や島谷刑事(宮内洋)は、捜査ミスを犯した責任を問われ、黒木警視正(丹波哲郎)の辞令により、Gメン加入前の警視庁の部署に戻されるという、事実上の左遷に近い形で番組を去りました。若林豪演じる立花警部が、自分の責任は棚に上げて後輩に厳しくエールを送る姿は、ハッピーエンドではない後味の悪さを残し、これもまた『Gメン’75』が持つ独特のハードボイルドな真骨頂であったといえるでしょう。
『Gメン’75』の「殉職」は、他のドラマと比べると数は少ないものの、その一つ一つが強烈な印象を残し、初期のGメンのアイデンティティを確立する上で重要な役割を果たしました。
長年の放送の中で、殉職という悲劇だけでなく、転属という形で多くの刑事が去っていきましたが、彼らはそれぞれに「熱い心を強い意志で包んだ人間たち」として視聴者の記憶に残っているはずです。
初期の殉職シーンに見られる、感情を排したクールな描写は、Gメンが目指した「ハードボイルド」とは何かを象徴しているのかもしれませんね。機会があれば、DVDなどでその名シーンを見直してみるのも良いかもしれません。
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